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売上と利益

はじめに

企業分析は主に業績(どれだけ儲かっているか)、財務(倒産などの危険性はないか)の2側面から行います。前者がオフェンス、後者がディフェンスの能力と捉えるとイメージし易いでしょうか。僕もそうでしたが、初心者のうちはついつい株価や配当利回り株主優待に目が行きがちですが、大前提として業績好調で財務が安定している企業に投資するというマインドセットが重要です。

この記事では、企業の「業績」を分析する上で基礎となる売上と利益について解説します。

 

売上と利益

売上と利益は損益計算書を見れば確認できます。また、証券会社のサイトやアプリ、IR BANK(https://irbank.net)の様な無料のまとめサイトも利用できます。IR BANKは過去10年間の推移(トレンド)を一目で確認できるのでおすすめです。

損益計算書では、以下に示すように売上高から諸々の収益、費用を加減して当期純利益(最終的に手元に残る利益)を計算します。損益計算書の詳細な見方と5つの利益については別記事で解説しますが、ここでは企業の「業績」を分析する上で必ず見ておきたい売上高、営業利益、当期純利益の3つの利益に絞って考え方を述べたいと思います。

損益計算書 売上と5つの利益

売上高

 モノを売る、サービスを提供するなどして得た販売代金の総額

売上総利益(粗利益)

 売上高 - 売上原価

営業利益

 売上総利益 - 販売費および一般管理費販管費

経常利益

 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

税引前当期純利益

 経常利益 + 特別利益 - 特別損失

当期純利益(最終利益)

 税引前当期純利益 - 税金

 

売上高

そのままなので説明不要かと思いますが、モノを売る、サービスを提供するなどして得た販売代金の総額です。損益計算書の一番上に書かれることからトップラインとも呼ばれます。

投資先を考える上で、売上高が伸びている(上昇トレンドにある)というのは超重要です。なぜなら、利益は経費を削減するなど経営の上手さである程度カバーすることは可能ですが、売上高は純粋に市場(顧客)の評価を表していると受け止めて良いと考えられるからです。

 

売上を伸ばす方法は、以下のどちらか(あるいは両方)になります。

・販売数量を増やす

 ⇒新規顧客の獲得、顧客当たりのリピート率向上

・顧客単価を上げる

 ⇒値上げ

 

新規顧客を獲得するために新製品の開発、広告宣伝などを行い、リピート率向上のために製品・サービスの質を高めて顧客満足度を高め、値上げしてもなお、顧客を納得させるだけの付加価値を提供する必要があります。これが企業努力です。

 

裏を返せば、売上が下がっている場合、要因としては以下が考えられます。

・ 販売数量が減っている
 ⇒顧客が離れていっている、リピート率が下がっている

・顧客単価が下がっている
 ⇒過当競争に巻き込まれて価格を維持できない、製品・サービスが陳腐化している

 

より良い製品・サービスに顧客が集まるのが市場の原理です。一度離れた顧客を取り戻すのは並大抵のことではありません。コロナの様な一過性(と思われる)の要因であればまだしもですが、売上高が長期的に下降トレンドにある場合は純粋にマイナス材料と判断して良いでしょう。

利益率の低いビジネスから撤退・縮小することで事業構造の転換を図っているという前向きな理由で一時的に売上高が下がる場合もありますが、そこはあくまでもトレンドで見たい所です。また、後述する営業利益と併せて判断すれば良いかと思います。ただ、個人的には売上高が下がっている企業への投資は積極的にはなれません。仮に売上高が下がっている企業が事業転換のフェーズにあったとしても、業績がしっかり上向きになったのを確認してから投資しても遅くはないと思います。

 

営業利益

売上高から売上原価と販売費・一般管理費(人件費、研究開発費、広告宣伝費等)を差し引いたものです。営業利益は企業が本業で得た利益とも言われます。本業が好調かどうかを見る指標になりますので、ここも伸びていることが重要です。

よく見るのは、売上高が増えているにもかかわらず、営業利益が減っている(増収減益)ケースです。この場合、投資を見送る判断もありですが、僕は売上高の伸びを素直に評価します。上でも述べた通り、売上が伸びていれば、売上原価や経費を抑えるなど経営の努力で利益をリカバーすることができるからです。もちろん、投資判断は他の指標も見た上で総合的に行います。

また、営業利益率(%)を確認することで、そのビジネスが儲かり易い構造なのか、そうでないのかが分かります。当然、営業利益率も高い方が良いですが、業種によって営業利益率の平均値は変わってきますので、同業種・同規模の企業同士で比較しておきたい指標です。いずれにせよ、売上高に対して手残りの利益が多い(利益率が高い)ビジネスモデルであれば、それだけ最終利益も確保し易くなる訳です。営業利益率の計算方法は以下の通りです。

 

営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

 

当期純利益(最終利益)

売上高から諸々の収益、費用を加減して最終的に手元に残った利益のことです。

当期純利益は株主のもの、正確には株式の持ち分(保有株式の数量)に応じた額が株主に帰属していることになります。当期純利益が源泉となり、その一部が株主に配当として支払われ、また一部は利益剰余金として企業に留保され、更なる事業継続・成長のための再投資が行われます。株主還元および事業成長のための再投資によって株主価値が高められる訳で、当期純利益もまた上昇トレンドにあることが望ましいです。

 

おわりに

 

  • 売上と利益が企業の「業績」を分析する上で基礎となる
  • 売上高は企業の製品・サービスに対する市場(顧客)の評価、営業利益は本業が好調かどうか、当期純利益は株主に帰属する利益の増減を見る指標
  • 売上高、営業利益、当期純利益がいずれも上昇トレンドにある企業が望ましい

 

以上、最後までご覧頂きありがとうございました。