投資初心者のための株ステーション

投資初心者に役立つ情報を発信するブログです

【投資用語解説】EPS

はじめに

企業分析は主に業績(どれだけ儲かっているか)、財務(倒産などの危険性はないか)の2側面から行います。前者がオフェンス、後者がディフェンスの能力と捉えるとイメージし易いでしょうか。僕もそうでしたが、初心者のうちはついつい株価や配当利回り株主優待に目が行きがちですが、大前提として業績好調で財務が安定している企業に投資するというマインドセットが重要です。

この記事では、「業績」の分析に用いられ、株主価値の観点から最も重要な評価指標であるEPSついて解説します。

用語の説明

 EPS(Earnings Per Share)とは、1株当たりの当期純利益のことで、以下の式で計算できます。売上と利益の記事で、「当期純利益は株主のもの」と書きましたが、正確には企業が1年間で計上した当期純利益のうち、EPS×保有株数の分が株主に帰属することになります。一般にEPSが上がれば株価も上がり、EPSが下がれば株価も下がります。また、配当額の算出根拠にもなるため、株主にとっては重要な数値と言えます。まさしく、EPS=株主価値と言えます。

 

EPS(円) = 当期純利益 ÷ 発行済株式数

 

解説

 

まず、会社の利益は誰のものでしょうか。それは社長でも社員でもなく、株主のものです。そして、繰り返しになりますが、企業が1年間で計上した当期純利益のうち、EPS×保有株数の分が株主に帰属することになります。当然、株主は持ち分に応じた配当を受け取る権利を有するということになります。会社が太っ腹だから配当を出している訳ではなく、利益は株主のものなので当然のことです。そして、EPS上昇に伴い受け取れる配当額も増える(増配)可能性があります。

また、EPSは株価にも影響を与えます。即ち、EPSが上がれば株価も上がり、EPSが下がれば株価も下がります。絶対とは言えませんが、そうなることが多いです。従って、インカムゲイン(配当)狙いでもキャピタルゲイン(値上がり益)狙いでも、EPSが上昇トレンドにある企業に投資するのが王道です。

 

インカムにせよキャピタルにせよ、EPSを高めることが株主価値を高めることに直結する訳ですから、企業は以下①、②によりEPSを高めようとします。

 

1 当期純利益を増やす
⇒売上を増やし、経費(原材料費、販管費など)を減らす

2 発行済株式数を減らす
⇒自社株式を取得して処分する(自社株買い)

 

1 は感覚的に分かり易いと思います。では、②の発行済株式数を減らすとはどういうことでしょうか。
 

ここでもう一度、EPSの計算式を見てみます。

 

EPS(円) = 当期純利益 ÷ 発行済株式数

 

発行済株式数が分母に来る訳ですから、ここを減らすとEPSが上昇することは理解できるかと思います。仮に当期純利益が前期と同じであったとしても、発行済株式数を減らせばEPSは上昇します。

では、どの様にして発行済株式数を減らすのかと言うと、企業が自社株を買って償却する「自社株買い」という方法があります。自社株買いにはEPSを上げる以外にも株主、企業双方にとってメリットがある株主還元の一つです。従って、自社株買いの発表は投資家にとってポジティブに働きます。自社株買いについては、また別の記事で紹介しますが、ここでは株主還元の一つであると理解しておいて頂ければと思います。

おわりに

 いかがでしたでしょうか。EPSは株主価値に直結する指標なので、必ず確認したい指標です。以下まとめです。

まとめ

・EPS(Earnings Per Share)とは、1株当たりの当期純利益のこと

・企業が1年間で計上した当期純利益のうち、EPS×保有株数が株主に帰属する

・EPSを高めることは株主価値を高めることに直結する

・EPSは当期純利益を増やす以外に発行済株式数を減らすこと(自社株買い)によっても上昇する

 

以上、最後までご覧頂きありがとうございました。

株式投資に対する心構え

はじめに

この記事は、そもそも株式投資とはどう言う行為なのか、株式投資とどの様に向き合えば良いのか、と言うことについて書いています。基本的なことではありますが、株式投資に対するマインドセットを確立する上で最も重要なことだと考え記事にしました。日々、株価は変動します。その中で、この記事が適切な投資行動をとるヒントになれば幸いです。

株式投資とは 

 

そもそも株式投資とは、どう言うことでしょうか?

端的に言うと、会社の一部を所有する(会社のオーナーになる)行為です。会社の一部を所有するために、資金を投じて株式を取得する訳です。分かりきったことかも知れませんが、これが大原則です。必然的に、ある程度の期間(数年単位)を想定したものになります。

 

長期投資で企業が生み出す利益を享受しよう

 

短期で株価の上げ下げを見てトレードして利益を出す手法もありますが、これは投資よりも投機(ギャンブル)に近いと考えています。投機を否定するつもりは毛頭ありませんが、これで結果を出し続けるには相応の知識、センスが必要になります。何故なら、誰かが得すれば、その裏で誰かが損しているからです。これをゼロサムゲームと言います。

一方で、投資はプラスサムゲームと言われます。会社は利益をあげるために存在する機関です。赤字を出さない限り、利益は年々積み上がっていきます。利益の一部が配当として株主に還元され、残りは、やはり株主が所有する会社の資金となり事業継続・成長のために再投資されます。会社が利益を出し続け、この循環がグルグル回ることで利益が利益を生む様になります。これが複利の効果です。そして、その利益は株主に帰属します。会社の利益は株主の利益です。この利益の一部を配当として、あるいは株価の値上がり益として享受するのが投資の本来あるべき形です。

 

自分が取れるリスクに見合った投資を

 

会社の利益が株主の利益であるのと同じ様に、会社の損失は株主の損失です。赤字の様に数字として表れる損失もあれば、不祥事による信用の棄損と言う損失もあります。株主は、投資額の範囲内で会社の損失に対して株価の下落と言う形で責任を負います。

ただし、場合によっては投資額以上の損失になることがあります。信用取引(借金をして株を買う)の場合です。株で大損したと言う話は、この信用取引の場合が多いです。再起不能になる場合においては特にそうだと思います。借金をすることで、本来自分が取れる以上のリスクを背負ってしまう訳です。

従って、初心者のうちは余裕資金の範囲内で現物取引をおすすめします。現物取引であっても、最悪の場合、上場廃止になれば株券は紙切れになります。それでも、投資した金額以上の損にはなりませんので、リスクをコントロールしやすいです。ついつい、リターンを上げるために銘柄研究をすることも大切ですが、初心者のうちはそれ以上にリスクをコントロールすることに重きを置いた方が良いかと思います。

「勝つことよりも市場に居続けることが重要」と言われますが、まさしくその通りです。大きな失敗を避け、長期で市場に居続けるために、自分が取れるリスクの範囲内で投資をすることです。そうすることで、多かれ少なかれ会社が生み出す利益を享受することができる訳です。

 

おわりに

 

いかがでしたでしょうか。これからも一緒に勉強して、ゆっくりとお金持ちになっていきましょう。

まとめ

株式投資とは、会社の一部を所有する(会社のオーナーになる)行為

・長期投資で会社が生み出す利益を享受するのが投資の本来の形

・自分が取れるリスクに見合った投資をする

 

以上、最後までご覧頂きありがとうございました。

売上と利益

はじめに

企業分析は主に業績(どれだけ儲かっているか)、財務(倒産などの危険性はないか)の2側面から行います。前者がオフェンス、後者がディフェンスの能力と捉えるとイメージし易いでしょうか。僕もそうでしたが、初心者のうちはついつい株価や配当利回り株主優待に目が行きがちですが、大前提として業績好調で財務が安定している企業に投資するというマインドセットが重要です。

この記事では、企業の「業績」を分析する上で基礎となる売上と利益について解説します。

 

売上と利益

売上と利益は損益計算書を見れば確認できます。また、証券会社のサイトやアプリ、IR BANK(https://irbank.net)の様な無料のまとめサイトも利用できます。IR BANKは過去10年間の推移(トレンド)を一目で確認できるのでおすすめです。

損益計算書では、以下に示すように売上高から諸々の収益、費用を加減して当期純利益(最終的に手元に残る利益)を計算します。損益計算書の詳細な見方と5つの利益については別記事で解説しますが、ここでは企業の「業績」を分析する上で必ず見ておきたい売上高、営業利益、当期純利益の3つの利益に絞って考え方を述べたいと思います。

損益計算書 売上と5つの利益

売上高

 モノを売る、サービスを提供するなどして得た販売代金の総額

売上総利益(粗利益)

 売上高 - 売上原価

営業利益

 売上総利益 - 販売費および一般管理費販管費

経常利益

 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用

税引前当期純利益

 経常利益 + 特別利益 - 特別損失

当期純利益(最終利益)

 税引前当期純利益 - 税金

 

売上高

そのままなので説明不要かと思いますが、モノを売る、サービスを提供するなどして得た販売代金の総額です。損益計算書の一番上に書かれることからトップラインとも呼ばれます。

投資先を考える上で、売上高が伸びている(上昇トレンドにある)というのは超重要です。なぜなら、利益は経費を削減するなど経営の上手さである程度カバーすることは可能ですが、売上高は純粋に市場(顧客)の評価を表していると受け止めて良いと考えられるからです。

 

売上を伸ばす方法は、以下のどちらか(あるいは両方)になります。

・販売数量を増やす

 ⇒新規顧客の獲得、顧客当たりのリピート率向上

・顧客単価を上げる

 ⇒値上げ

 

新規顧客を獲得するために新製品の開発、広告宣伝などを行い、リピート率向上のために製品・サービスの質を高めて顧客満足度を高め、値上げしてもなお、顧客を納得させるだけの付加価値を提供する必要があります。これが企業努力です。

 

裏を返せば、売上が下がっている場合、要因としては以下が考えられます。

・ 販売数量が減っている
 ⇒顧客が離れていっている、リピート率が下がっている

・顧客単価が下がっている
 ⇒過当競争に巻き込まれて価格を維持できない、製品・サービスが陳腐化している

 

より良い製品・サービスに顧客が集まるのが市場の原理です。一度離れた顧客を取り戻すのは並大抵のことではありません。コロナの様な一過性(と思われる)の要因であればまだしもですが、売上高が長期的に下降トレンドにある場合は純粋にマイナス材料と判断して良いでしょう。

利益率の低いビジネスから撤退・縮小することで事業構造の転換を図っているという前向きな理由で一時的に売上高が下がる場合もありますが、そこはあくまでもトレンドで見たい所です。また、後述する営業利益と併せて判断すれば良いかと思います。ただ、個人的には売上高が下がっている企業への投資は積極的にはなれません。仮に売上高が下がっている企業が事業転換のフェーズにあったとしても、業績がしっかり上向きになったのを確認してから投資しても遅くはないと思います。

 

営業利益

売上高から売上原価と販売費・一般管理費(人件費、研究開発費、広告宣伝費等)を差し引いたものです。営業利益は企業が本業で得た利益とも言われます。本業が好調かどうかを見る指標になりますので、ここも伸びていることが重要です。

よく見るのは、売上高が増えているにもかかわらず、営業利益が減っている(増収減益)ケースです。この場合、投資を見送る判断もありですが、僕は売上高の伸びを素直に評価します。上でも述べた通り、売上が伸びていれば、売上原価や経費を抑えるなど経営の努力で利益をリカバーすることができるからです。もちろん、投資判断は他の指標も見た上で総合的に行います。

また、営業利益率(%)を確認することで、そのビジネスが儲かり易い構造なのか、そうでないのかが分かります。当然、営業利益率も高い方が良いですが、業種によって営業利益率の平均値は変わってきますので、同業種・同規模の企業同士で比較しておきたい指標です。いずれにせよ、売上高に対して手残りの利益が多い(利益率が高い)ビジネスモデルであれば、それだけ最終利益も確保し易くなる訳です。営業利益率の計算方法は以下の通りです。

 

営業利益率(%) = 営業利益 ÷ 売上高 × 100

 

当期純利益(最終利益)

売上高から諸々の収益、費用を加減して最終的に手元に残った利益のことです。

当期純利益は株主のもの、正確には株式の持ち分(保有株式の数量)に応じた額が株主に帰属していることになります。当期純利益が源泉となり、その一部が株主に配当として支払われ、また一部は利益剰余金として企業に留保され、更なる事業継続・成長のための再投資が行われます。株主還元および事業成長のための再投資によって株主価値が高められる訳で、当期純利益もまた上昇トレンドにあることが望ましいです。

 

おわりに

 

  • 売上と利益が企業の「業績」を分析する上で基礎となる
  • 売上高は企業の製品・サービスに対する市場(顧客)の評価、営業利益は本業が好調かどうか、当期純利益は株主に帰属する利益の増減を見る指標
  • 売上高、営業利益、当期純利益がいずれも上昇トレンドにある企業が望ましい

 

以上、最後までご覧頂きありがとうございました。

はじめに

ご訪問頂き有難うございます。

 

このブログでは、投資初心者の方向けに役立つ情報を発信していきます。

管理人自身まだまだ勉強中の身ではありますが、勉強して得た知識を公開することで、どなたかのお役に立てればと思っております。

 

株式投資はギャンブルみたい、損するのが怖いと言う方もいらっしゃるかも知れませんが、正しい知識を身につけて行動することで、再起不能になる程の大きな損失は回避できると思います。もちろん、株価は日々変動します。仮に1000万円を運用したとして、保有資産の評価額が1日で10〜30万円(±1〜3%)動くこともザラではない世界です。価格(株価)だけを見ていると、気が気でないです。

 

価格よりも価値を見て投資判断をする

そのために必要な知識とマインドセットを身につける

 

これが当ブログの基本スタンスです。

会社の価値とは、利益であり、資産であり、製品・サービスであり、ブランドであり、顧客基盤であり、成長性であり、これらを総合的に評価することで導き出されるものです。これを誰もが入手できる情報からどう読み解くのか。初心者向けに、そこに焦点を当てた記事を書いていきたいと思います。従って、「すぐに」とか「絶対」儲かると言った類の話は一切書きませんし、主観きら特定の銘柄や投資手法をオススメしたり否定することも極力避けたいと思います。ただし、客観的な根拠を示した上で良いものは良い、悪いものは悪いとは書きます。

 

投資をすることの目的は、人によって定義の違いこそあれ、いわゆる金持ちになることだと思います。でも、すぐに金持ちになる方法はありません。長期にわたって値動きのある株式市場に資金を投じる必要があります。市場から撤退することなく、生き残っていく必要があります。

 

乗り切っていくのは、知識とマインドセットだと信じています。その様な情報を最も必要としているであろう投資初心者の方に、少しでもお役に立てる情報を発信していきたいと思います。